2024年4月に行われたSword Performance Team 偉伝或〜IDEAL〜 の公演【生贄姫-黄泉比良坂】に楽曲やSEを提供しました。
その中からHagiのお気に入り楽曲をアルバムにまとめ、リリースしました。
ジャンル:インストゥルメンタル
リリース:2024年8月10日
アーティスト:Hagi
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アルバム『黄泉の花』(Yomi no Hana)では、作・編曲、プログラミング、ミックス、マスタリングまでの全工程をHagiが行いました。
- 極楽焼土
- 約束
- 魑魅魍魎
- 紺碧の郷
- 約束の果て
- 蛍
- 鎮魂の夜明け
- 想い出
- 遠き曼荼羅
- 永遠ノ約束
雅楽器に初チャレンジ!
台本の第1稿が届いたのは、2023年12月。
台本には、所々にサウンドのイメージも記されていたので理解しやすかったです。
しかし。。。
「経典を口ずさみながら」
「マグマのような音、ゴポゴポ」
「雅楽と祝詞が聞こえてくる」
「極楽浄土を思わせる美しい旋律」等々、
具体的な音に落とし込んでいく時、どのようなサウンドにすれば良いのだろう?という気持ちになったのを覚えています。
作者である川渕かおりさんは、物語を書きながら音のイメージも持たれていたと思います。
その中でも、特に印象的な言葉が「雅楽の音楽」
続けて「美しい巫女が儀式舞を踊る」とも記されていました。
雅楽は、日本古来の儀式音楽や舞踊などと、仏教伝来の飛鳥時代から平安時代初めにかけての400年間あまりの間に、中国大陸や朝鮮半島から伝えられた音楽や舞、そして平安時代に日本独自の様式に整えられた音楽などです。
https://www.nihongagakukai.gr.jp/about_gagaku/gagaku.html
これは、チャレンジな音楽制作になる!と思いました。
なぜなら、今まで一度も雅楽の音色を使用して音楽を創った経験がなかったからです。
しかし、雅楽器の音色を鳴らせるソフト音源は、少しだけ持っていました。
そのうちの1つが、Sonica Instruments の【SHO】です。
笙の音源を少し鳴らしてみた事はあったものの、西洋音楽とは全然違う響きなので戸惑います。今でも雅楽や雅楽器の事は、何も理解していません。
自分が持っている雅楽のイメージにあった響きを取り入れているだけなので、雅楽器を演奏できる方が聴くと違和感を持たれるかもしれません。
聴かせたい音(音程)をトップにして、あとは心地よく響いてくれる音を探しながら鳴らしました。
雅楽器と他の音色のMix
1曲目「極楽焼土」では、雅楽の音楽をイメージしてトラックを制作しました。
4曲目「紺碧の郷」では、雅楽器の音色で雅な雰囲気を演出しました。
雅楽器の音色は、本当にすごい存在感です。特に笙や篳篥の音色は、わずかに鳴るだけでサウンド全体の雰囲気を支配してしまうくらいのインパクトがあると思います。
その強烈で雅な雰囲気を絶妙なバランスで鳴らすことに気を配りました。
悪魔の声?
台本の中で「悪魔」「魔物」という言葉がたくさん使われていました。
雅な雅楽器の音色とは正反対に不気味な雰囲気の演出に男性ボイスを使いました。
【極楽焼土】では、雅な音色と不気味なボイスが重なります。
曲中では不気味な声に対峙する神聖な雰囲気の女性ボイスが、より美しく聴こえます。
最も苦労した曲
そして今回、最も作り甲斐のあった曲が、1曲目の「極楽焼土」でした。
この曲への川渕さんからのリクエストは、下記のとおりです。
・初めは、箏とか雅楽の和のイメージ
・極楽浄土のような音楽が、徐々にダークにロック調に変化していく
曲の初めは、雅で美しい和の雰囲気にもかかわらず、その後ダークなRock調に変化していくのです。全く違ったモチーフを繋ぎ合わせて変化させるのが効果的なのか?それとも、転調やテンポチェンジが効果的なのか?いろいろな方法を考えました。
アルバムでは1曲目ですが公演では、ラストに近い壮大な殺陣シーンの曲です。
曲の後半では、ダークなロック調からテンポを上げ、細かく激しいリズムで壮大なバトルを演出しました。
戦いで命を落としていく者達、残酷なシーンです。ただ激しく殺陣を煽るだけのサウンドではなく悲しみや苦しみ切なさも等も忘れないよう、更に戦の後には希望もあるようなイメージで作曲しました。
本読みでイメージは膨らむ!
台本の第1稿を読んだ段階で6曲目の「蛍」は、書き終えていました。
悲しく、美しく、切なく、希望に満ちた。。こんな気持ちを持って作曲したのを覚えています。
そして本格的に制作を始める前に、顔合わせと本読みに参加させて頂きました。
ただ台本を読んでいるのとは違い、役者さん達が声にしたセリフを聴くと音や音楽のイメージが膨らみます!悲しい雰囲気の音楽と思っていても、どんな悲しみなのか?それによって音も音楽も変わりますので、肉声でセリフを聴く事でより具体的なイメージを得る事ができました。
また、本読みの時に作者の川渕さんに音の方向性を確認してもらおうと、音ネタのサウンドモチーフを10個くらい創りました。そのモチーフから発展して仕上がった曲やSEもあります。
毎回なるべく台本や映像から作者の考えを理解しようと努力していますが、実際の音を聴きながらのコミュニケーションはとても大切だと改めて感じました。
キャスト
和泉學人、一本鎗希華、伊東茉里乃、宮本京佳、篠原和美、小田洋輔、田沼未帆、品川ともみ、新八、加納義広、中野貴文、石川毅、島田勇矢、平瀬堂勝隆、松田理奈、栃本有紀、知花美穂、シキリュウコ、大森ほのか、高田遼太郎、見谷惇、佐々木太一、加藤郁海、森山紗樹、岩渕聖良、紅日毬子、五十嵐愛、小笠原游大、長尾一広、宇井源秀
<偉伝或 ~IDEAL~ >
川渕かおり、宮園博之、村尾敦史、馬場梨恵子、紫野えりこ、伊勢参
スタッフ
作・演出 川渕かおり
舞台監督 : 児玉恒士(P.P.P.)
演出助手 : 伊勢参、紫野えりこ
殺陣振付 : 米山勇樹(米山流殺陣術)
ダンス振付:五十嵐愛
音響 : 小林勇太(TCOC)
照明 : 横原由祐
殺陣効果音 : 澤田圭佑
舞台美術 : 門馬雄太郎
小道具 : 伊勢参、近藤修大
当日制作 : 黒田哲平(SIGNALWORKS)
衣装 : 馬場梨恵子、森本拓也
衣装協力 : 春奈(刀屋壱)、Morley
ヘアメイク : 岩鎌智美
楽曲制作 : Hagi、山切修二(KAO=S)
撮影 : 添田晃史
宣伝美術 : 草野明日香(D・I・Oエンターテインメント合同会社)
公演名:「生贄姫 -黄泉比良坂-」いけにえひめ -よもつひらさか-
日時:2024年4月19日(金)~4月22日(月)
会場:ラゾーナ川崎プラザソル
音楽作品一覧
Hagiの音楽は、”q-on”(クオン)というレーベルからリリースしています。音楽だけにとどまらず、あらゆるクリエイターの情報発信の場となるようにと、アーティスト Hagiが発足したレーベルです。