慶次 for 刀屋壱

侍・忍者、殺陣チーム『刀屋壱』の2024年作品「慶次」のサウンドトラックをリリースしました!

ジャンル:インストゥルメンタル
リリース:2024年6月7日
アーティスト:Hagi

アルバム『Cage for 刀屋壱』では、作・編曲、プログラミング、ミックス、マスタリングまでの全工程をHagiが行いました。

勇ましい掛け声は、マオリ族?

制作前の打ち合わせで、村人たちが祭りで掛け声を叫ぶような曲が欲しいとリクエストされました。「祭り」と言っても、楽しく和気藹々とした雰囲気のお祭りもあれば、神秘的な儀式を行うお祭りもあります。この物語でのお祭りってどんな雰囲気のサウンドが相応しいか想像しました。
オープニングの殺陣シーンの後に流れる曲(アルバム2曲目)だったので、勇ましいサウンドにして次のシーンにオープニングの余韻を残したかったのです。
そして、ライブラリーの声素材から最も勇ましく聞こえ、且つお祭りっぽい雰囲気も感じられる掛け声を探しました。

ニュージーランドの先住民族マオリ族のハカ

ハカは先住民マオリの伝統的な踊りで、儀式や戦闘に臨む際に披露されます。一族が団体で行うハカは、部族の強さと結束力を表現しています。

足を踏みならし、舌を突き出したり、リズミカルに体で手拍子をとったりしながら、大きなかけ声に合わせて舞い踊ります。かけ声の内容は、一族の歴史と先祖にまつわる詩が一般的です。

https://www.newzealand.com/jp/feature/haka/
戦場では敵と対面する前に準備運動を兼ねてハカで士気を高めた。とも言われています。
スポーツの場面でも披露されるハカ・All Blacks
2014年に購入してから一度も使う事がなかった音源『HAKA』

サンプリングされたHAKAの音源から聞こえる掛け声を聴きながら太鼓の音色を選びました。イントロの30秒くらいは、太鼓と掛け声しかありません。村人の団結とか勇ましさを印象付けたかったので他の楽器は鳴らさないことにしました。
この曲を作る時には、まだ映像がなかったので音楽だけに集中し、掛け声の勇ましい雰囲気を壊さないよう気をつけながら制作していきました。

そして、その勇ましさを煽るように歪んだギターを重ねました。

曲の後半には、掛け声ではない男性ボイスも、別の音源で入れました。
戦場だけではなく、お葬式などの儀式でも披露されていたハカには、神秘的なボイスも似合います。『慶次』の物語により一層深みを与えられたと思います。

稽古動画に合わせて曲を構成

アルバム6曲目「前田慶次の戦い」の制作画面

『慶次』は、過去の作品『五右衛門』『狐火』と違って、稽古動画を見ながら作る曲が増えました。作り方は様々ですが動画がある場合は、芝居や殺陣のシーンに合わせてブレイクする箇所や盛り上げていく箇所、音楽は語りすぎず芝居を見せる箇所などを決めます。

制作画面の構成トラック
・赤色のイントロ部分は、不穏な雰囲気でのお芝居
・緑色の殺陣シーン
・青色のグサッと刺されるシーン
・ピンク色の首を切られるシーン
・紫色のスローシーン

首を切られる瞬間には、男性ボイスが叫ぶように作りました。残酷なシーンです。リズムは控えめに少し悲しい雰囲気を演出しました。
その後、また殺陣シーンになりサウンドは、重く激しくなっていきます。

曲にSEを重ねたくなかった

この曲のラストへいく手前で殺陣の動きがスローモーションになる演出がありました。まるで映画『マトリックス』でキアヌリーブスがピストルの銃弾をのけぞりながらよけるような殺陣シーンです!
普通に曲が流れていると、その場面に合わせてSEや照明でスローモーションの殺陣の動きを演出すると思います。しかしSEではなく、音楽の中でこのエフェクティックな動きをサウンドで表現したかったのです。その理由は、芝居の動きでは時間の早さ(流れ)が変化しているのに音楽の早さが変化していなかったら、違和感があると思ったからです。

動きの違いをより感じさせるためには、サウンドでも大胆にデフォルメする必要があると思いました。難しかったのは、スローな動きから普通の動きに戻る箇所でした。音がリバース(逆再生)するような効果をつくって時間の流れが正常に戻っていくイメージにしました。そしてスローモーションな殺陣シーンが終わりブレイクしてエンディングへ向かいます。

稽古動画がある時は、このように芝居や殺陣の動きに合わせて制作を進めていきます。

癒しサウンド

アルバム3曲目の「絆」は、後に追加された村での親子の絆を感じさせるシーンです。
過去の刀屋壱の作品にはなかった心地よいピースフルなサウンドは、箏の音色で日本の雰囲気を演出しながら篠笛のようなピッコロの音色が重なっています。

激しいバトルシーンばかりではなく、バランスの良い作品になったと思います。

篠笛(しのぶえ)は日本の木管楽器の一つ。

篠竹雌竹)に歌口指孔(手孔)を開け、ないしは合成樹脂を管の内面に塗った簡素な構造の横笛である。伝統芸能では略して「」や「竹笛」と呼ばれることも多い。尺八フルートと同じく「エアリード楽器」に分類される。音域はフルートの3オクターブに対し、篠笛は2オクターブ半ほどである[1]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AF%A0%E7%AC%9B

トルコの笛 Ney

ピースフルな癒しサウンドが流れた後に続くシーンでは、一転して不穏なサウンドが鳴ります。この不穏な雰囲気を演出する音色が、トルコ共和国の楽器 Neyという笛です。
2024年、刀屋壱のワールドツアーがトルコ共和国からスタートすることを知りました。
どこかのシーンでトルコ共和国の楽器を使用したかったのです。いくつかの楽器が候補に上がりましたが、Neyの悲しげで魅力あふれる音色を使いたくなり、アンビエントなドローンと重ね不穏な雰囲気を演出する曲が完成しました。

Neyの魅力的な音色に引き込まれます

CD一覧

HagiのCDは、”q-on”(クオン)というレーベルからリリースしています。音楽だけにとどまらず、あらゆるクリエイターの情報発信の場となるようにと、アーティスト Hagiが発足したレーベルです。


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